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奢られ方には作法があります

2026年09月12日 公開・更新/文:ゆかり

金額の交渉より、受け取る瞬間のほうが効きます。

同じ金額を同じ相手からもらっても、受け取り方ひとつで、次があるかどうかが変わります。私はそう思っています。実際、続いた関係とそうでない関係の差は、条件の良し悪しではありませんでした。

作法の話をします。感情の話は出てきません。

金額は、会う前に済ませておきます

当日に金額の話をすると、その日の空気が全部そこに持っていかれます。楽しく話していたのに、会計の前後だけ急に商談になる。あれは、お互いにとって良くないです。

だから、会うと決める前に2つ確認します。

1日のデート金額と、職業です。

職業を聞くのは、その人が何をしている人か知りたいからではありません。その金額を継続して出せる人かどうかを見ています。一回払えるかと、半年払えるかは別の話なので。基本、経営者の方が多いです。

切り出し方は、あまり工夫していません。会う日を決めるやりとりの流れで、そのまま聞きます。

「当日って、どのくらいで考えてますか」

これだけです。濁すと、かえって相手が身構えます。金額の話をためらう人だと思われると、当日に「言い出しにくい人」として扱われて、結局その場で気まずくなります。

聞くのは、会う日を決めたあと、場所を決める前がいちばん自然です。日程が決まる前だと打算的に見えるし、場所まで決まってからだと今さらになる。

ここを先に済ませておくと、当日はただ受け取るだけになります。それだけで、その日の質が変わります。

受け取るとき、私がしている3つのこと

ひとつめ。財布を触るそぶりをします。

出す気があるわけではありません。でも、こちらが一切財布に手をかけないと、相手は「払って当然の人」と会っていることになります。そぶりだけで十分です。相手は止めてくれます。

タイミングは、伝票が置かれた瞬間ではなく、相手が伝票に手を伸ばしてからです。先に動くと、本当に払う流れになりかねません。相手が動いたのを見てから、バッグに手を入れる。それで止められたら「ありがとうございます、ごちそうさまです」で終わりです。

ふたつめ。自分のほうが年上なら、「今度ランチご馳走するね」と言います。

これは実際にご馳走するという約束ではなく、返す気があるという表明です。年下の男性は、年上の女性に出すことに少し引け目を感じる人がいます。そこを軽くしておく。

年下でなくても使えます。その場合は「次は私が店を探しますね」に変えています。返すのはお金ではなく、手間のほうでいいというのがこの一言の中身です。

みっつめ。おいしそうに食べます。

いちばん単純で、いちばん効きます。連れて行った店で相手が満足そうにしていると、選んだ側は自分の判断が正しかったことになる。お金の話を一言もせずに「良かった」と思ってもらえる方法が、これです。

苦手なものが出たときは、正直に言ったほうがいいです。無理に食べて微妙な顔をするのが一番よくない。「これ苦手なんです、でもこっちすごくおいしい」まで言えば、次の店選びの情報にもなります。

3つとも、やっていることは同じです

相手に恥をかかせない。

これだけです。

男性が一番いやなのは、金額が足りないと思われることでも、たくさん払うことでもありません。値踏みされることと、当然の顔をされることです。この2つをやらなければ、たいていの人はまた会いたいと言います。

逆に言うと、金額を上げても、この2つをやってしまえば終わります。

逆に、やらないほうがいいこと

裏返すと、避けるべきことも決まります。

その場で金額を確認しないこと。封筒を開けて数える人がいます。相手からすると、信用されていないことが分かる瞬間です。中身は帰ってから見れば足ります。

足りないと言わないこと。言いたくなる場面はあります。でも、その場で言うと交渉ではなく非難になります。合わないと思ったら、次に会わなければいいだけです。

匂わせないこと。誰と会ったか、何をもらったかをSNSに出す人がいます。相手が既婚であれば、それは相手の生活を危なくします。そして同じことが、そのままこちらにも返ってきます。

この3つは、どれも「相手に恥をかかせない」の反対側にあります。

これは演技です

私は自分で財布を出す気はありませんし、ランチをご馳走する予定も、正直あまりありません。

それでも、そのそぶりをします。演技です。

演技というと悪く聞こえますが、そうではないと思っています。上手い下手があって、練習すれば上がるものだからです。天然でこれができる人は、たぶんほとんどいません。私も最初はできませんでした。受け取るときに何と言えばいいか分からなくて、ただ「ありがとうございます」とだけ言っていました。それでも悪くはないのですが、次にはつながりませんでした。

渡し方は、こちらから決めていいです

現金の手渡しは、いちばん生々しいです。封筒でも、その場で数える人がいます。

私はPayPayにしてもらっています。食事の途中で「あとで送っておきます」で済むので、受け渡しの瞬間そのものが無くなります。

ただし、ひとつ注意があります。PayPayの取引履歴は、自分では消せません。非表示にもできません。アカウントを解約したときに消えるだけです。つまり、スマホを見られる可能性がある人は、こちらのほうが危険です。

家の中でスマホを触られることがある人は、現金のほうが安全です。ここは相手の好みではなく、自分の環境で決めてください

定期の相手には、先に

続いている相手には、先にもらっています。いわゆる前借りです。

金額を増やしたいからではありません。先に渡していると、相手の側に「次がある」という前提ができるからです。渡した分を無かったことにする人は、あまりいません。

これは相手を縛る技術ではなく、お互いに予定を立てやすくする技術だと思っています。ドタキャンも減ります。

この作法が効くのは、条件のある関係だけです

ここまで書いたことは、お金の文脈がある関係でしか使えません。

既婚者専用のアプリを使っていたときは、この技術を使う場面が一度もありませんでした。あちらは最初から最後まで関係の話だけなので、受け取る場面がない。そのかわり、こちらが相手に求めるものは全部「相手の質」に乗ります。条件のいい人を探し続けることになって、私はそれで疲れました。

いま使っているのはラブアンです。最初から条件の話ができる場所なので、上の3つがそのまま効きます。女性は無料です。

結局、ここで決まります

金額は、会う前に決まります。関係が続くかどうかは、受け取る10秒で決まります。

財布を触るそぶり。返す気があるという一言。おいしそうに食べる。

この3つができるかどうかで、定期になるかが決まります。私はそう思って、毎回やっています。